シカゴのウォルマートでブラックフライデーの陳列を行う従業員。
REUTERS/Kamil Krzaczynski
- アメリカの11月の消費者物価指数は、前年同期比で7.1%上昇した。
- これはエコノミストが予想した7.3%を下回り、2021年12月以来の最低水準だった。
- この数値は、インフレが落ち着いていることを示している。
アメリカのインフレ率は、2022年を通して見られた空前の高率から冷めつつある。
消費者物価指数(CPI)で測定されるインフレ率は11月に前年同月比7.1%上昇し、10月の同7.7%を下回った。これはアメリカ労働統計局(BLS)の発表した最新データによるものだ。11月の上昇率は、ブルームバーグが調査したエコノミストの予測値の7.3%を下回り、2021年12月以降で最も低い前年同月比になった。
11月のCPI(季節調整済み)は前月比で0.1%上昇し、エコノミストが予想した0.3%を下回った。11月の上昇率は10月の前月比上昇率の0.4%を下回っている。BLSは12月13日の発表で、前月比の上昇に最も貢献したのはシェルター(家賃・宿泊費)だと指摘した。
変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアCPIだけを見ると、前年同月比6.0%の上昇だった。これは予想の6.1%をわずかに下回るものだ。10月のコアCPIは、同6.3%上昇した。
さらに、ブルームバーグが調査したエコノミスト予測値は、11月のこの指標について前月比0.3%上昇と予想しており、前月と変わらなかった。コアCPIは0.2%上昇し、2021年8月以来の低い上昇率になった。
エネルギーは10月の1.8%増の後、11月は1.6%減となった。この指数は、調整前の数値で見ると前年比13.1%上昇し、10月の前年比上昇率より緩やかな上昇となった。エネルギー価格は数カ月間下がり続けている。
11月の食料費と住居費は、季節調整済みの月間上昇率がそれぞれ0.5%と0.6%で、前月に比べて上昇率が小さくなっている。調整前の住居費の価格指数は、前年同期比7.1%増で、依然として高い水準にある。食品も前年同期比ではまだ高いが低下してきている。食料品の価格指数は前年同期比10.6%増だ。
CPI発表後、ダウ・ジョーンズ先物などの株価は急騰した。
今回の発表はアメリカ連邦準備制度理事会の2022年最後の会合を前にしたもので、この結果、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)FRB議長は今年初めの大幅な利上げよりも遅いペースで利上げを行う可能性がある。
2023年にはインフレは沈静化するかもしれない。ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は最近、CBSテレビの「60ミニッツ」で「インフレ率は低くなると考えている」と述べた。
イエレン長官は「労働市場が極めて健全な状態を維持し、人々が個人的な経済状況に満足できるようになることを強く望んでいる」と述べた。
アメリカ人はまだ物価の上昇に直面しているが、ガソリン価格の低下など、よいニュースもある。
バンクレート(Bankrate)のシニア・アナリスト、マーク・ハムリック(Mark Hamrick)は、「インフレはピークからいくらか落ち着いたように見える。それには特にガソリン価格が大きく影響している」と発表前に述べている。
「全国平均では、前年同期比で1ガロン当たりわずか数セントの上昇だ。そして、お買い得感を求めるホリデーギフトの買い物客は、衣料品や家電製品に魅力的な価値を見出しつつある」
しかし、物価の上昇は、買い物客が購入できるものに依然として影響を及ぼしている。ハムリックによれば「生活必需品のコストが非常に高いため、消費者は(必需品以外の品物に関しては)かなりの買い物を見送らざるを得なくなっている」という。