「課長どまりと幹部になる人」運と実力の作用の差 「絵に描いたようなエリート街道」は極めてまれ

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出世にはいくつかのルートがあるが「上司ガチャ」も重要な要素(写真:takeuchi masato/PIXTA)

会社には、出世して経営幹部になる人もいれば、課長どまりで終わるという人もいます。両者には、いったいどういう違いがあるのでしょうか。能力・実績以外の要因が経営幹部への昇進に作用しているのでしょうか。

この疑問について、大手企業の経営者や人事部門関係者41人にヒアリングしました。その結果、出世して経営幹部になるには、大きく次の3つのルートがあることがわかりました。

① エリートコースを順調に歩んでいく

② 消去法的に押し上げられる

③ ニッチな領域を駆け上がる

今回は、3つのルートごとに、経営幹部になる人と課長どまりの人の違いを検討してみましょう。

“正のサイクル”のきっかけは?

まず、①エリートコースを順調に歩んでいくルート。出世というと真っ先に想起するのは、このタイプでしょう。一流大学を出て、花形部署に配属され、実績を上げ、常に同期の先頭で昇進していくというエリートです。
ただ、今回ヒアリングをしたところ、「そういう絵に描いたようなエリート街道まっしぐらというパターンは、当社では極めてまれです」(金融・人事部門マネジャー)という意見が多数聞かれました。

意外と多いのが、出身校や若い頃の配属先は目立たなくても、「実績を上げる→経営陣や人事部の目に留まる→重要な仕事を任される→大きな実績を上げる→昇進する→さらに重要な仕事を任される……」という“正のサイクル”が回るケースです。では、“正のサイクル”が回り出すきっかけは何でしょうか。

「ある程度の能力はもちろん必要ですが、それよりも好奇心・積極性が大切だと思います。当社でも目立たない部署から頭角を現す人がいますが、興味のある仕事があったら『ちょっとお手伝いしますよ』とか『私のITの知識が生かせるので任せてください』と自分から仕事を取りに行っています」(物流・人事担当役員)

「顧客へのクレーム対応のような誰もが嫌がる仕事を任されたとき、『なんだ、この仕事は』とかブーブー文句を言いながらやるか、我がこととして黙々と取り組むか。後者に対しては、こちらも『次は、もっと活躍できそうなチャンスを与えてあげよう』という気になります」(サービス・経営者)

日本では学歴がよく話題になるように、エリートコースに乗る人は入社した時点で決まっていると考えがちです。しかし、実際には本人の努力と心掛けで出世コースは大きく変わってくるようです。

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