日本はもうダメなのだろうか。チップワンストップ社長の高乗正行さんは「私は半導体の商社を経営しているが、たとえば日本の半導体産業はいまも大きな影響力がある。かつての勢いを失ってはいるが、今後も取り残されずにやっていくのは十分に可能だ」という――。

※本稿は、高乗正行『ビジネス教養としての半導体』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。情報は2022年9月の刊行当時。

日本の国旗を持つ人と右肩下がりのグラフ
写真=iStock.com/NatanaelGinting
「日本はもうダメだ」は事実なのか(※写真はイメージです)

半導体メーカーのシェア低下は事実

近年、さまざまな分野で「日本はもうダメだ」という論調を聞きます。

GDPは減少し続け、米国に次いで世界2位だった栄光は過去のものとなってしまいました。

そして日本が衰退しているといわれるのは、半導体においても例外ではありません。

実際に1970年代から1980年代にかけては日本の半導体が世界を牽引し「日の丸半導体」とも呼ばれたものの、2000年代に入るとシェアを急速に減らしてしまいました。

こうした事態に陥った原因については、日米半導体協定やパソコンの台頭によるシェア減少などが挙げられます。

SIAの月次出荷金額の統計によると、2021年の年末から2022年にかけて、米国や欧州、中国、APAC(日本・中国を除くアジア太平洋州)が出荷額のピークを更新しました。

ですが、日本は2010年の10月のピークを今も更新できておらず、日本の半導体消費市場としての世界における地位低下が、日本の半導体メーカーのシェア低下に関連しているともいえます。

影響力をもち続けることは不可能ではない

では実際に日本の半導体は世界に比べて遅れており、日本は世界の半導体業界に対する影響力を失っているのでしょうか。

結論から述べると、まずは今の時点において日本はかつての勢いを失っています。

しかし今後の状況としては、かつての日の丸半導体のような勢いを取り戻すのは難しいものの、半導体業界のなかで影響力をもち続けることは不可能ではないと考えられます。