ダムが決壊する前の6月5日に撮影された画像。車道が破損していることが確認できる。
Maxar Technologies/Handout via Reuters
- ウクライナ南部のカホフカ・ダムが6月6日に決壊したが、その前にすでに損傷していたことが確認されたとBBCとCNNが報じている。
- BBCが公開した衛星写真では、6月1日にはなかった車道の損傷が、6月2日に見られる。
- 誰が損傷を与えたのか、またそれが最終的な決壊に影響したのかは不明だ。
2023年6月6日にウクライナ南部のカホフカ・ダムが決壊した。衛星画像を見ると、少なくともその4日前に、ダム上の橋の一部がすでに構造的なダメージを受けていたことを示している。
BBCは、橋の状態が悪化していることを示す6月1日と2日に撮影された画像2枚を入手して公開した。2日の画像では、橋の車道の一部が欠けている様子が写っており、1日にはなかった損傷であることが分かる。
Insiderは、マクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)が撮影した同様の画像2枚を入手した。
左は5月28日撮影の画像で、車道は損傷していない。右は6月5日撮影の画像で、車道に欠けた部分が見られる。
Maxar Technologies/Handout via Reuters.
CNNも6月6日にBBCと同様の分析を発表したが、画像は含まれていない。
これらのメディアは、車道の損傷がカホフカ・ダムの最終的な決壊に影響したかどうかは不明であると報じている。また、この被害が意図的に引き起こされたものなのか、ウクライナとロシアのどちらかの軍事行動の結果なのかも不明だとしている。
ドニプロ川にあるこのダムの破壊により、ヘルソン地方南部の数十の村が浸水し、下流の数千人も水位の急上昇により避難を余儀なくされた。また、北にあるザポリージャ原子力発電所を冷却するための貯水池の水が流出する恐れもある。
カホフカ・ダムは、2014年以来ロシアが占拠しているクリミア半島における水の供給にとっても不可欠なダムだ。
2023年6月6日、ウクライナ、ヘルソン地方のロシア支配地域にあるカホフカ・ダムが決壊し、水が流れ出ている。
Zelenskyy Social Media Account / Handout/Anadolu Agency via Getty Images
ロシアはウクライナを非難しており、同国の外交官は、ウクライナがアメリカから供給されたHIMARSロケット(高機動ロケット砲システム)を使用して施設を破壊し、反撃を開始したのだと述べている。
一方、ウクライナはロシアに責任があるとし、ダムに仕掛けた地雷を爆発させたと主張している。ウクライナの国連大使セルギー・キスリツァ(Sergiy Kyslytsya)は、カホフカ・ダムを外部から破壊することは「物理的に不可能」だと述べた。
6月6日、アメリカのロバート・ウッド(Robert Wood)国連代理大使は記者団に対し、ダムの決壊を引き起こしたのが誰なのかはまだ分からないが、ウクライナがこのような攻撃を行ったとは考えにくいと述べた。
Insiderはウクライナとロシアのそれぞれの国防省にコメントを求めたが、返答は得られていない。