日本衰退の原因は低金利、発展のために金利を引き上げるべきだ

二極化も老後不安も低金利のせい

国民の利益がチューチュー吸われた

4月9日、日本銀行の新総裁に植田和男氏が就任。「黒田バズーカ」という言葉が象徴する(超)金融緩和路線が変更されるのかどうか注目された。結局、就任後の記者会見では、金融緩和による多くの副作用の指摘をしたものの、「政府と日本銀行の共同声明について、直ちに見直す必要はないとの認識で一致した」と述べている。

そして本稿執筆時点でも、直ちに大幅な政策変更を行う気配は全く見られない。

植田和男・日本銀行総裁   by Gettyimages

確かに、直近でのFRBの急速な利上げが、シリコンバレーバンクを始めとする金融機関の破綻・危機につながるなどの大きな副作用を伴ったことを考えれば、植田新総裁が「利上げ」に対して慎重になるのも理解できる。

また現在の日本社会・経済、さらには財政が「(超)低金利」を前提にしているのは明らかであり、その「前提」が崩れ去った時の大きな混乱も予想される。

だが、数十年続いたデフレ時代が終わったことは間違いがなく、インフレを「暴走」させないためには金利の大胆な引き上げが必要不可欠だ。

また、逆説的に聞こえるかもしれないが、「金利引き上げが最終的に日本経済を成長させるカギ」でもあるのだ。

少なくとも「現在の日本」の発展のためには「利上げ」が必要であり、一時的な混乱や景気の低迷があっても、長期的には「利上げこそが日本を発展させる」とさえ言えるのではないだろか?

(超)低金利というのは一種の麻薬のようなものであり、使い続けていれば、それなしには生きていけない不健康な体になってしまう。まさに、日本経済の弱点は低金利という麻薬に依存した部分であり、金利を引き上げることによってそれらの「患部」を「除去」し「健全化」が図れるのだ。

 

同時に、低金利は借り入れ側の企業などには有利だが、預貯金を行う国民の側からすれば「富を奪われている」ということになる。本来もらえるべき金利を受け取ることができないということだ。

この「本来もらえるはずの金利」を国民が受け取ることによって、経済が活性化し老後不安も大幅に減少するのではないだろうか。

低金利政策によって「借り手」は大いに潤ったが、預貯金を中心とした資産を持つ国民は富を奪われてきたともいえる。

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