2023.06.09
# 皇室

上皇ご夫妻の「4泊5日の京都・奈良大旅行」、皇室記者がその様子に抱いた「違和感」

上皇ご夫妻は5月14日から、京都市と奈良県を相次いで訪問された。日程は4泊5日。90歳近い高齢のお二人としては「大旅行」とも言える長旅だ。

そもそも上皇さまは退位の際、今後一切の公務から身を引く、と公言していたはず。「新型コロナウイルス禍以来、4年ぶりの地方訪問」とされた今回のお出ましは、「隠居」した身としてふさわしい行動だったのかどうか。代替わり当初に懸念された天皇と上皇の「二重権威」という言葉も頭をよぎり、若干の違和感が拭えなかった。

上皇夫妻(2023年1月)〔PHOTO〕Gettyimages
 

衰えぬご夫妻の「人気」

コロナ禍の間は、皇室全体で公共交通機関の利用が控えられていたが、新型コロナが感染症の「5類」に移行した直後の今回のお出ましでは、新幹線が使われた。

京都駅に到着したのは、5月14日の午後1時過ぎ。この日は日曜日で、もともと観光客が多く、ご夫妻が駅を車で出発する際には、外国人も含めて多くの群衆がその様子を見守った。数にして1000人近かったのではないか。居合わせた外国人観光客の中には、日本語がよく分からず、偶然出くわしたこの夫妻を「ジャパニーズ・エンペラーとエンプレス」だと勘違いした人もいるかもしれない。

ご負担を考慮して一日あたりの行動はかなり控えられた。初日は京都到着後、幕末までの皇室の菩提寺で、皇族が京都入りした際に必ずと言っていいほど訪れる「泉涌寺」を訪問しただけだった。参道にも多くの人が待ち受け、その印象は「現役時代と何ら変わらない人気ぶり」といったところだった。

翌日は「京都三大祭り」の一つ「葵祭」の観覧が予定されていたが、天候が不安定なため、早朝の時点で翌日への順延が決定された。午後は京都市内の大聖寺を訪ねた。古くから内親王が住持(寺の長)を務めた「尼門跡寺院」で、明治天皇の后である昭憲皇太后が儀式で着用した「大礼服」を見学した。傷んだ大礼服の修復が今年完了し、ご夫妻が関心を寄せていたという。

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